さぁさぁ! 月に一度のお楽しみ! 待ちに待った聖書(ゲッサン)が発売されたので、今回も「からかい上手の高木さん」の感想を綴っていきます!
※大いにネタバレしているので、まだゲッサンを読んでいない方はバックしてくださいね!
さぁ、今回は「雨」と「豆まき」の二本立てでしたが、結論から申し上げましょう。
今月号、マジで神でした。
「雨」に関しては、ここ最近の尊さに振り切った話を凌駕するほどの尊さを、そして「豆まき」に関しては、ここ最近でも随一の話の展開の上手さをみることができました。山本先生マジで天才すぎてやばたにえん……。
最近でも12巻のラストにあった「夜」や13巻に収録される「グリコ」など「クリティカル」に匹敵する、いや、それを越えるかもしれないほどの破壊力がある話がありましたが、今回の「雨」はそれと同等、人によってはそれ以上の話ではないかと思います。
かくいう僕もそうであり、今回の「雨」は久々に感動のあまり涙がこぼれそうになるくらい尊い話だと思いました!
「豆まき」も話がとても面白いし、オチもめちゃくちゃ良く出来てていつもの高木さんの可愛らしいからかいを見ることができますが、「雨」の破壊力があまりにも凄すぎて「豆まき」の凄さがちょっと霞んでるのでは!? と思ってしまうのでこの二つの話の素晴らしさをしっかりと僕なりにまとめていきます。
まずは「雨」回!
扉絵の高木さんの表情がとてもアンニュイな感じがして静けさを感じます。西片といるときとは全く違う憂いを感じますね。教室に一人ってとても静かで寂しさを感じますね。雨なら尚更です。
そして雨には一年生の最初の方のあの思い出もありますもんね。今回はその思い出も含めたお話です。
まずは2ページ目。
一日の授業が終わりを迎えようとする頃、曇天の空からポツリポツリと不穏な音が……。その音は次第に激しさを増して一気にザーザー降りの雨に変わっていきました。高木さんが言うとおり雨が降るのは予想外だったようでクラスメイトの言葉がそれを物語っています。そしてそれは西片も例外ではなく3ページ目へ。
最後のHRが終わるやいなや猛ダッシュを見せる西片くん。彼も傘を忘れてしまった一人。「マラソン」回のあとから密かに練習を続け「夕日」回で高木さんが驚きの声を上げていた脚力を活かし教室を飛び出しとある場所へ。
話は逸れますが「夕日」回、メッチャいいですよね。今までの『からかい上手の高木さん』にはない大人な雰囲気。珍しいシチュエーション。素直に高木さんが可愛くて、美しく感じてしまうシーン。また別の記事でこういった感想は述べていきたいなーと思っております笑
話は戻って4ページ目。
とある場所にたどり着いた西片は事務室のおじさんの勢いよく話しかけます。そう、彼の狙いは忘れ物の傘だったのです!(ナ、ナンダッテー!?)
っていうか忘れ物なのに学年と名前書いたら貸出できるんですねw 傘だからいいのかな? まぁ西片がそのまま借りパクするなんて絶対にありえませんからね。
そしてこのページの最後のコマ。ここがとても大事なんですね!
まず西片の妄想の中の高木さんがかわいい! 「あいあいがさするー?」とからかう顔も、「あーはずかしいんだー」と笑う顔もかわいすぎない!? こんなにかわいい高木さんを脳内に住ませてる西片マジで前世で世界救ってる説!
とはいえこれも以前あった「雨」回の経験をフラッシュバックさせているので、西片にとってはからかいチャンスをしっかりと潰せて安堵しているでしょうね。
5ページ目。
無事傘をゲットした西片くん。それでも頭によぎるのは高木さんにからかわれないかどうか。下駄箱で彼女を探す姿はやはり西片にとって高木さんはいい意味でも悪い意味でも特別なんでしょうねw 家路を急ぐ西片には大切な理由があるそうで、どうやら『爆裂!!最強サッカー!!』のスペシャル番組を見たいみたいですね。子供の頃はやっぱり好きなアニメの特番ともあれば是が非でも見たいですよね。僕も子供の頃学校が終わったらすぐに帰って『デジタルモンスター』いわゆるデジモンを見ていた記憶がありますw
6ページ。
降りしきる雨の中を闊歩する西片。天気はときに高木さんのからかい材料になり得るので西片は天気にも結構敏感なのですが、この日は油断してました。念には念をということで天気が微妙でも傘を持ってこようというモノローグが流れます。天気や温度、占いもからかいの案に使えるのでここらへん全般で二人はよく勝負をしている印象があります。それは「雨」もそうですし、「衣替え」だったり、「クリティカル」だったり、「おみくじ」もそうですね。
そして西片は曇天の空を見上げてポツリと呟きます。
西片くん高木さんのこと完全に好きじゃん!
好きかどうかはともかく、こんな状況でも高木さんのことが頭をよぎるとかもう完全に特別な存在じゃないですか! もちろんいい意味で!!
7ページ、8ページ。
高木さんのことを思い浮かべながらも西片は再び歩を進めます。しかしその足はすぐに止まります。少し進んでは高木さんの顔が浮かび立ち止まる。そして少し進んではまた立ち止まるの繰り返し。その間も降りしきる雨。その雨は西片の心にどんどん心配事を増幅させていきます。
高木さん、もしかして今日も……。
しかし西片はその迷いを振り払おうと自分に言い聞かせます。「高木さんだし」と。
決意を新たに西片は再び歩き出します。でも左上の西片の汗が心情を表しています。
本当にこのまま帰っていいのだろうか。
大好きなアニメの特番が見たいから早く帰りたい。でも……。でも……。
そして西片はまた空を見上げます。
ここの下のコマの西片の後ろ姿……。やばくね?
まるで西片の不安や迷いを表すかのトーン使い……。マジやばくね?
そして9ページ目。
西片の不安は見事的中していました。
静寂に包まれた教室に、高木さんの姿がありました。
天から勢いよく降り注ぐ雫を見てポツリと一言呟く高木さん。前述しましたが、その表情はとても寂しげで、高木さんという作品の中でもかなり珍しい表情です。
ここはいろいろと考えることがあります。何故高木さんが帰らずに教室に一人で雨が止むのを待っているのか。例えば仲のいい鷹川さんと一緒に帰るという選択肢もあったはずです。でもそれをしなかったのは、すみれちゃんを含め他の友達の女子は雨に打たれながら急いで帰ってしまったのは、それとも他の友達の傘に入って帰ってしまったのか。
しかしながら僕はこの説を推したいと思います。
傘を持っていたすみれちゃんから「一緒に帰らない?」と誘われたけれど、とある理由のため断った。
そしてその理由は、『西片を信じている』から。
もしこれが理由ならもういろいろと尊すぎるというか西片のこと好きすぎてもう高木さんかわいすぎる……。
妄想ばかりで本編から逸れてるので戻しますw
10ページ!
ヒーローは遅れてやってくる! しかし、必ずやってくる!!
不意に開いた教室の扉。そして高木さんの表情。高木さんの表情!!
この驚きの表情。大きく開かれた瞳。しかし、それ以上に今回ポカンと開いた口! ここに注目したいです! 驚いたのと同時に、もしかしたらドキリとしているのかもしれないと受け取ることもできます。
高木さんは隠しているのか、それとも驚きすぎて固まっているのか、いつもの落ち着いたトーンで西片の名を呼びます。
高木さんの元へ歩く西片。そして西片の予想は的中します。
西片の問いに平静に答える高木さん。しかしその表情は心なしか明るく見えます。そこにはさっきの憂いを帯びた寂しい表情はもうありません。
11ページ。
さて、西片くんは何故教室に戻ってきたのでしょうか。その答えは火を見るよりも明らかです。そして教室に帰ってきた勢いそのままに高木さんに声をかけます。「あの……じゃあ……」何か言いかける西片に高木さんは「ん?」と小さな疑問の声。束の間の静寂。そして西片は高木さんの手元に注目し話題を逸らします。
西片めー! あと一歩だったのにー!
とはいえ教室で一人で宿題をやってるのはさすがは高木さん。真面目で抜かりがない性格がよく表れています。さすが聡明であられる。
12ページ目。
一度勢いが削がれると再び誘うのは勇気がいります。それを知ってか知らずか高木さんから言葉を口にします。まるで西片を誘うかのように。
いつも通り西片の心を読むのが特技の高木さんは、西片の行動を全てお見通しでした。傘を忘れていたのも、傘を忘れていたのも全て。
だとすれば。西片の心を読むのが得意中の得意な高木さんなら。
西片が教室に戻ってくるのもお見通しだったのでしょうか?
いや、ここで言及するのはやめておきましょう。
13ページ目。
そして西片は勇気を口にします。
顔を真っ赤にした西片。何度目かの勇気。それは「お誘い」のような、「約束」のような、「夏祭り」のようなときと同じ勇気。
高木さんの顔。あえて全てを描かず、口元と頬のあたりだけ。アニメの「お誘い」回のような演出。でもはっきりとわかる高木さんの表情。そして心情。
それは高木さんのたった一言の返事が全てを物語っています。
『からかい上手の高木さん』って本当に最高ですね。
14ページ。
嬉しさを素直に口にする高木さんメチャクチャかわいい……。そして相合傘というワード反応して「な!?」っていつもの反応しちゃうのも尊い……。いつも通りのからかいをしてしまい謝る高木さん。「からかっちゃダメだよね」と自ら言うところがもう本当に、本当にすごい。だって『からかい上手の高木さん』がからかっちゃダメだなんて……。それくらい高木さんは感謝してるし、心の底から嬉しいんだろうなぁというのがアリアリと伝わってきます。
そして左下のコマ、西片がどういう心情で戻ってきたのかもいとも容易く察知してしまうあたりさすがは高木さん。
15ページ目。
終始顔が赤い西片、うまく誤魔化そうとしますが、見たかった特番のこともお見通しです。あっさりと認めてしまう西片に、高木さんは再びほんのりと頬を染めます。
大好きなアニメよりも、雨に濡れることよりも、自分を優先してくれたことに。そして自分のことを考えてくれたことに。
高木さんとしても、以前あった「お土産」回でも旅行先で自分のことを考えてくれたことを、お土産を買ってきてくれたことを「本当に嬉しいんだよ」とキチンと言葉にして西片に伝えています。
小さいですが、高木さんは本当に、本当に嬉しいんだなーというのがよくわかる一コマなのでこういう描写をとても大切にしている作品なんじゃないかなーと思います。
そして下のコマのセリフ。そして最後の16ページ。
これは言うなれば、高木さんの勇気。
高木さんだからこんな言葉を口にするくらい容易いことだと思います。今までも高木さんは西片をからかうためなら手段を選ばないことも多々あります。
でも、最初は西片が鈍感だからこそ攻めたセリフが言えた節があるんじゃないかなぁと思います。例えば「部屋」回の踏み込んだ発言や、「水着」回で水着を選んでもらうところとか。中学二年生になって少し成長した二人のやりとりなら、また違った言葉で、行動で、からかいを見せてくれるんじゃないかなぁと思ったり。
何が言いたいかというと、この中学二年生になった高木さんの「誘ってくれる?」という言葉は高木さん的には少しながら勇気がいる言葉だったんじゃないかと思います。
なぜなら一年前の西片ならおそらく断ると思うからです。
しかし高木さんの勇気に、西片は、同じく勇気で応えてくれました。
真っ赤に染まる頬で、恥ずかしすぎて顔を逸らしながら答える西片に、高木さんは満面の笑みを浮かべます。
もう……尊さ天元突破してるんですが……。
もうこれ両想いじゃん……。だって、「わざと傘忘れようかな」という言葉を聞いた上での「誘ってもいいけど……」っていう返答……。いや、最高過ぎない? これ高木さんはもちろんだけど、西片も高木さんが少なからず特別な存在であることを認めてるわけですよ!
だってこれ高木さん以外の女の子だったら絶対断るでしょ!?
さて、こんなに尊いシチュエーションを湯水の如く流してきたうえで、最後のコマ。しっかりと『からかい上手の高木さん』という作品を象徴するような締めです!
からかうのがクセになっちゃってる高木さんは気を抜くとすぐにからかっちゃう。それがかわいいんだけどね! しかもそれが成長して大人になって元高木さんになっても変わらないってところも最高に最高!
最終的に「ちゃんと傘持ってきて!」と言うところも西片っぽくて本当に好きです。
さて、今回の話いかがだったでしょうか?
今回マジで久方ぶりに涙を浮かべるくらいに尊さが振り切った話だったと思います。
そしてこの感想記事を書きながら高木さんと西片くんに想いを馳せていると自然ともう一度涙が出てしまいました笑
感想を整理するって高木さんと向き合うってことでもあるので、今後も継続して続けていこうと思います。
例によって長くなってしまったので2本目の「豆まき」はまた時間があれば記事にしようと思いますのでお楽しみに!
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